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十四  ヨゼフの出世



 それから二年たったある晩のこと、王さまは続けて二つの夢を見ました。最初の夢はこうです。王さまがナイル川のほとりに立っていると、肥えたりっぱな雌牛が七頭、川から上がってきて草を食べていました。すると、そのあとから、こんどはやせた雌牛が七頭上がってきて、肥えた雌牛を飲みこんでしまいました。ここで王さまは目がさめたのですが、また眠り続けて、二度目の夢を見ました。それはこうでした。一本の麦のくきから実がよくはいった七つの穂が出ていました。するとそこへ、あとから七つのしぼんだ穂が出てきて、みのった穂を飲みこんでしまいました。王さまの見た夢というのはこうでした。

 朝になって目をさました王さまは、すぐにエジプトじゅうの占い者を集めて、自分の見た夢を話してきかせましたが、だれもそれを解きあかす者がいません。その時、王さまの食卓係は、ふと、ヨゼフのことを思い出して王さまに言いました、「王さま。ろうやの中には、今、たいへん夢うらないの上手な若者がいます。あの男なら、私の夢もピタリと当てましたから、王さまの夢もまちがいなく説き明かすに違いありません。」

 そこで王さまはすぐにヨゼフを呼びよせて、自分の見た夢を話しました。じっと聞いていたヨゼフは静かに言いました。
「王さま。それは神さまが、これからなさろうとしていらっしゃることを、王さまにお告げになったのでございます。まず、初めの夢とあとの夢の、七頭の肥えた牛と七つのみのった穂とは、七年間豊作が続くということでございます。そして、、七頭のやせた牛と七つのしぼんだ穂とは七年間の凶作をあらわしています。それで、今からすぐに七年間豊作が続きますが、すぐそのあとに七年の凶作が起こって、大ききんになるでしょう。こういうわけでございますから、王さま、あなたは賢い人をおえらびになってエジプトを治めさせ、七年間の豊作で余った穀物を倉にたくわえておいて、そのあとに起こる七年間のききんの用意をなさるがよろしゅうございます。」



 この夢判断はたいそう王さまの気にいりました。王さまは家来たちに向かって、「この夢判断こそ、神さまがヨゼフにお教えになったものにちがいない。ヨゼフほどの賢い者がほかにいようか」と言い、ヨゼフに向かって、「これからおまえに、エジプト全国をまかせることにしよう。エジプトじゅうの国民は、みな、おまえに従うのだ」と言いました。そして自分のはめていた指輪をとってヨゼフの指にはめ、金のくさりを首にかけさせ、王さまのつぎの車にのせて、「下におれ。これはエジプトを治めるおかたであるぞ」と先払いをさせて、町中をのりまわらせました。

 これはヨゼフがちょうど30歳のときの事でした。

一 神さまは何ごとでも、私たちにとって、よいようにお計らいくださいます。  このことを、神の「
上知」といいます。


二 神さまがいまなさっておられる事には、今の私たちにはその意味のわからないこともあります。けれども、神さまのなさることは、全部よいことですから、安心しておまかせできます。



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